「サイド・センター」で軸をより豊かに育てる【前編】(高岡英夫 談)
中央にあるセンターが重要なのであって、脇にあるセンターはそれほど重要ではないのでは?
サイド・センターは、何種類かあるセンターの中で最も代表的な中央にあるトップ・センターの脇にあるセンターです。ですから皆さんは、サイド・センターに対しては、「中央にあるセンターが重要なのであって、脇にあるセンターはそれほど重要ではないのではないか」と思われたり、「中央にあるセンターだけでもなかなかものにすることができない、あるいは、ものにするのに悪戦苦闘している状況の中で、脇にあるセンターにまでとても手が回らないじゃないか」というようなことを疑問として、思われているのではないでしょうか。
そこで今日は、そのあたりのことについて、じっくりと本当のところをお伝えできたらと思い、話をさせていただきます。
まず2つあるうち前者の疑問からお話しますと、中央にあるものをトップ・センター、両脇にあるものをサイド・センターと私は名付けたのですが、両者比較をした場合、優先順位は間違いなくトップ・センターが上です。
それは、拙著『体の軸・心の軸・生き方の軸』(ベースボール・マガジン社刊)でも力説したように、地球の重心も人間の重心もそれぞれ1つだから、1つ同士を繋げたものは1本しかないがゆえに、その線に沿ってできる身体意識であるトップ・センターが、あらゆる他のセンターに対して最重要ということになり、そのことは間違いがないことです。
ここから先は余計な話ですが、私のサイド・センター(側軸)の理論、考え方を真似するような形で出てきた二軸理論は、先ほどの申し上げた内容に照らし合わせて考えてみますと、まさに間違っているといえます。なぜなら、私の概念で言うトップ・センターとサイド・センターを比較して、前者よりも後者の方が重要であるかのごとく考えたり、あるいはその考え方にしたがってトレーニング法を編み出したりしているからです。これはとんでもない誤り、と断ずることができるでしょう。
そのことをもう1回ひっくり返して言えば、トップ・センターがサイド・センターより重要であることは間違いがないのです。そのような意味で、皆さんの中でサイド・センターは、トップ・センターほど重要ではないのではないか、と思われた疑問は正しいわけです。
サイド・センターは、優先順位として身体意識の中でどのくらいの位置づけになるのか?
しかし次に大事な問題は、優先順位で見ていったときに、サイド・センターは身体意識全体の中の重要度においてどのくらいの位置づけになるのか、ということです。当然、トップ・センターよりは優先順位が下がります。
それでは、仮にサイド・センターの重要度の位置づけが、他のさまざまな身体意識の重要な装置と比べてずっと後ろの方で100番目、200番目あたりだとしたらどうでしょう。それだけ優先順位が低いとすると、トップ・センターに比べ、サイド・センターの重要度の落ち方は、あえてそのことを理論的にも勉強する必要性は低い、いわんやそれを身につけようとしたり、どういうものかを実体験で知ろうとする、あるいは身につけようとする必要性も乏しい、ということになるのではないでしょうか。
ところがじつは、ここに私でなければ言えないまさに裏の情報があります。今日はそれをお話しいたしましょう。じつはトップ・センターの重要度は、常々言っているように身体意識の中で他のすべてを絶してナンバー1です。
さて、その次に来る重要度の高い身体意識は何かといえば、じつは上・中・下丹田、そしてサイド・センターというように横並びなのです。上・中・下丹田のうちどれが重要だとはいえない、どれがどれに対してより重要だといえないのと同じように、サイド・センターと3つの丹田の重要度は均衡しているのです。
トップ・センターとサイド・センターを比べると、明らかにトップ・センターの方が重要ですが、だからといってサイド・センターが10位とか20位に下がるのではなく、堂々と第2位なのです。そして、その第2位で上・中・下丹田と並んでいるのです。
そしてさらに、もういくつか付け加えさせていただくと、まずリバースです。リバースも間違いなくその第2位に入るでしょう。ではリバースと同じく人対人、人対物の関係性装置であるレーザーはどうなのかというと、当然のごとくそこに入れられるでしょう。
重要度において、サイド・センターは上・中・下丹田と並んでいる
以上のような話をお聞きになると、「もしかして、トップ・センター以外のかなりの数の身体意識が第2位に入ってしまうのではないですか?」という質問があったとすると、じつはその通りなのです。
厳選した約100点の身体意識の重要度グラフ
というのは、このことをお話しすると皆さんよくご納得いただけるのではないかと思うのですが、身体意識の装置は現在では1,000点以上が発見されており、数えようによってはそれよりはるかに多くなります。じつに数多くの身体意識が存在するのです。そのうちの厳選した重要なもの100点前後について、これまでに、私はその概念である言葉はもちろんのこと、さらには図示、いわゆる形態についても発表しているのです。だから現在発表している名前のついた身体意識は基本的に重要なものばかりなのです。
想像してみてください。1番から1,000番までの身体意識を並べてその重要度を競うとすると、すべてがドングリの背比べで1番が決め難い場合も考えられますよね。しかし幸いに1番は、地球という重心を1つ持った重力体と、それから同様に重心を1つ持った人体という重心同士を結んだ1本の線に沿ってできる身体意識であるトップ・センターだと、ハッキリと言えるのです。
ところが、2番目以降は途端に横並びになってしまいます。まさにドングリの背比べになってしまうのです。だんだん下に行くにつれて、同じ順位のところで、横並びの数が増えていくのです。別の言い方をすると、1~1,000番目まですべての装置が順番にその重要度に差があって並んでいるわけではないのです。その話を知っていただけると、ああなるほどとご納得いただけるのではないでしょうか。
だから上・中・下丹田がやっぱり大事で、学んでみても大事ということが理解できたのなら、同じようにサイド・センターも重要度において差がないものなのだと考えていただいて、まったく問題はないのです。
サイド・センターは、トップ・センターがもたらす効果すべてを補強してくれる
いま申し上げたように、トップ・センターは、地球と人体に1つずつ存在する重心同士を結ぶ線に沿ってできることから絶対的決定的に重要なものだといういうことが理解いただけたと思います。そして、そのトップ・センターの効果には、リーダーシップの最大な要件であるとか、軸がブレないとか、首尾一貫した認識・行動力が持てるとか、大所高所に立ったものの見方ができるようになるとか、非常にさまざまな効果がありますが、一方、サイド・センターの効果はどのようなものであるかというと、じつはトップ・センターの効果すべてを補強する効果があるのです。
たとえば、トップ・センターに軸がブレないという作用があるとすると、サイド・センターができることによって、ますますもって軸がブレなくなるのです。それは建物の構造を参考にしていただければわかりやすいと思います。大黒柱があったとして、その大黒柱があらゆる柱の中で一番重要だということは、どなたでもわかりますよね。ところが大黒柱1本では、建物は建ちません。他にもさまざまな柱が存在することによってはじめて、立体として、しかも非常に強固な建造物が成立し得るのです。
その大黒柱以外の柱に相当するのが、まさにこのサイド・センターということになります。なるほどと思っていただけたでしょうか。
またさらに、サッカーとかラグビーなどの競技スポーツを例に出せば、違った面からさらによくご理解いただけると思います。あのような競技においては、正面を突破することが非常に重要です。というよりも、正面突破というチーム力があって、さらに右サイド、左サイドからも突破できるというところに突破の有効度を発揮するわけです。しかしいくら強いからといって、正面からしか絶対突破しない、サイドから突破することは一切しない、しかもそのための能力ゼロ、というチームが仮にあったとしたら、チーム力はかなり弱いもの留まってしまうでしょう。
中央あってのサイドであると同時に、サイドあっての中央というものなのですから。トップ・センターとサイド・センターは、このような補充関係があるものなのだということをよくご理解ください。
ですから2種類のセンターが存立する順番は、あくまでもトップ・センターが先、次にサイド・センターとなります。もしトップ・センターを学ばずに、これからもずっとトップ・センターを学ぶことなくサイド・センターだけを学びますという気持ちがあるのでしたら、それはやめた方がいいとハッキリと申し上げることができます。
2010年4月3日(土)13:30~18:00
さたでい身体シリーズ『サイド・センター 初級』
講座のお申込みは運動総研コールセンターへ
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ファクス 03-3817-7724
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